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note: 要件定義書の文書単位は業務領域。領域の定義(ゴール一文テスト)と却下した代替単位、サイズ目安と境界例
created: 2026-08-17T16:25:50+09:00
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# 要件定義書は業務領域単位で書く

要件定義書を何の単位で1ドキュメントにするかを定める。結論は「**1業務領域 = 1ドキュメント**、その上に全体要件書を1枚」である。これは文書という器の粒度の話であり、記述の層(要求・要件・仕様・設計)とは別の軸である(「層と粒度は別の軸である」参照)。

## 規則

```
全体要件書(1枚)     … 領域分割・共通用語・共通ルール・非機能
 ├ 要件定義書 — 領域A
 ├ 要件定義書 — 領域B
 └ …
```

- 領域別要件定義書は、その領域のユースケース・業務ルール・管理する情報・スコープ外・受入基準を持つ
- どの領域にも属さないもの(認証、テナント分離、複数領域に同じ形で現れるルール)は全体要件書に置く
- 別紙(データ項目定義など)は全領域から参照される1枚として領域の外に置く

## 業務領域とは何か

**複数の画面をまたいでも、一つの業務ゴールに向かう作業のまとまり**である。

判定は「業務ゴールを一文で言えるか」。言えれば領域、言えなければ領域ではない。

| 例 | ゴール | 判定 |
|---|---|---|
| コンテンツ管理 | 書籍を正しい内容・タイミングで読者に提供し続ける | 領域 |
| お知らせ管理 | 伝えるべき情報を適切な分類・タイミングで利用者に届ける | 領域 |
| コンテンツ編集画面 | (ゴールではなく、上のゴールの実現手段の一部) | 領域ではない |
| ダッシュボード | (各領域の状態を横断表示する入口。固有のゴールがない) | 領域ではない |

一文テストを補強する徴候が3つある。いずれも「変更理由の軸で凝集させる」という同じ原理の現れである。

1. **変更理由が領域で閉じる**: お知らせの分類が変わってもコンテンツ管理の文書は変わらない
2. **レビュー相手が領域で揃う**: その文書を審査すべき業務担当者が特定できる
3. **語彙が領域で閉じる**: 独自の状態体系・分類体系を持っているものは、別領域である構造的な証拠(例: コンテンツとお知らせでステータス語彙が異なる)

## 却下した代替単位

| 単位 | 却下の理由 |
|---|---|
| 画面単位 | 画面は設計の産物。UI変更のたびに要件文書が壊れる。機能同士の関係を画面経由で記述するため相互参照が増殖し、同じ情報の二重定義(→必ず食い違う)を招く |
| 機能単位 | 「何のためにその機能があるか」の文脈が消え、網羅的な水増しを止める装置がなくなる |
| アプリ全体で1本 | 中規模以上でユースケースが20本近くになり、レビューが1回で回らない。小規模なら可 |
| ユースケース単位 | 共有物(用語・業務ルール)の置き場がなくなり、二重定義が構造的に発生する |

画面単位・機能単位の既存資産(画面仕様書・機能一覧)は捨てるのではなく、要件合意後の仕様層の文書として位置づけ直す。

## サイズの目安と、崩れたときの読み方

1領域 = 海面ユースケース5〜10本、本文A4で5〜8枚。

- **これを超えて太る** → 文書を割るのではなく、領域の切り方を疑う。2つのゴールが混ざっていないか(ユースケースの粒度が崩れている場合は「Fish の線引き」参照)
- **ユースケースが2〜3本しかない** → 独立領域ではなく隣の領域への吸収を検討する。導線が未接続・提供時期未定の機能群は、領域として立てること自体を要確認にする

## 境界例の扱い

- **横断画面(ダッシュボード等)**: 領域にしない。各領域の要件(要対応事項の提示など)の実現手段として、全体要件書に位置づけだけ書く
- **編集画面・一覧画面**: 領域の実現手段の一部。独立文書にしない
- **要求とのトレース**: 各領域のユースケースは要求一覧の要求IDへトレースする(「要求フェーズの作成資料と情報項目」参照)。どの要求にも紐づかないユースケースは水増しの疑いとしてレビューで問う

## まとめ

- 1業務領域=1ドキュメント。上に全体要件書1枚、外に別紙
- 領域の判定は「業務ゴールを一文で言えるか」。変更理由・レビュー相手・語彙が領域で閉じることが補強の徴候
- 画面・機能・ユースケースを文書単位にしない。二重定義と文脈の消失が構造的に起きる
- 太ったら文書ではなく領域の切り方を疑う

**この文書は誰の変更で書き換わるか。** 領域単位の文書は、その領域の業務が変わったときだけ改版される。画面や実装の変更で要件文書が書き換わっているなら、単位か層のどちらかが崩れている(「層の越境パターン集」参照)。
