要件定義書は業務領域単位で書く

要件定義書を何の単位で1ドキュメントにするかを定める。結論は「1業務領域 = 1ドキュメント、その上に全体要件書を1枚」である。これは文書という器の粒度の話であり、記述の層(要求・要件・仕様・設計)とは別の軸である(「層と粒度は別の軸である」参照)。

規則

全体要件書(1枚)     … 領域分割・共通用語・共通ルール・非機能
 ├ 要件定義書 — 領域A
 ├ 要件定義書 — 領域B
 └ …

業務領域とは何か

複数の画面をまたいでも、一つの業務ゴールに向かう作業のまとまりである。

判定は「業務ゴールを一文で言えるか」。言えれば領域、言えなければ領域ではない。

例ゴール判定
コンテンツ管理書籍を正しい内容・タイミングで読者に提供し続ける領域
お知らせ管理伝えるべき情報を適切な分類・タイミングで利用者に届ける領域
コンテンツ編集画面(ゴールではなく、上のゴールの実現手段の一部)領域ではない
ダッシュボード(各領域の状態を横断表示する入口。固有のゴールがない)領域ではない

一文テストを補強する徴候が3つある。いずれも「変更理由の軸で凝集させる」という同じ原理の現れである。

  1. 変更理由が領域で閉じる: お知らせの分類が変わってもコンテンツ管理の文書は変わらない
  2. レビュー相手が領域で揃う: その文書を審査すべき業務担当者が特定できる
  3. 語彙が領域で閉じる: 独自の状態体系・分類体系を持っているものは、別領域である構造的な証拠(例: コンテンツとお知らせでステータス語彙が異なる)

却下した代替単位

単位却下の理由
画面単位画面は設計の産物。UI変更のたびに要件文書が壊れる。機能同士の関係を画面経由で記述するため相互参照が増殖し、同じ情報の二重定義(→必ず食い違う)を招く
機能単位「何のためにその機能があるか」の文脈が消え、網羅的な水増しを止める装置がなくなる
アプリ全体で1本中規模以上でユースケースが20本近くになり、レビューが1回で回らない。小規模なら可
ユースケース単位共有物(用語・業務ルール)の置き場がなくなり、二重定義が構造的に発生する

画面単位・機能単位の既存資産(画面仕様書・機能一覧)は捨てるのではなく、要件合意後の仕様層の文書として位置づけ直す。

サイズの目安と、崩れたときの読み方

1領域 = 海面ユースケース5〜10本、本文A4で5〜8枚。

境界例の扱い

まとめ

この文書は誰の変更で書き換わるか。 領域単位の文書は、その領域の業務が変わったときだけ改版される。画面や実装の変更で要件文書が書き換わっているなら、単位か層のどちらかが崩れている(「層の越境パターン集」参照)。